小門こもん)” の例文
そこで私は、彼のうしろについて、そこに見える城塞じょうさい小門こもんをくぐった。白木は、私の方をふりむいた。そしてステッキを叩いていうには
暗号音盤事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
宙は女と離れてその前にある小門こもんの口の方へ歩いて往った。宙はその時女の足が一足二足自個じぶんを追って来たように感じた。
倩娘 (新字新仮名) / 陳玄祐(著)
曲者は古い礼拝堂の方へ走って土塀の間にある小門こもんの蔭に消えてしまった。その戸は開けてあったと見えて、いつものように戸の開く音がしなかった。
小門こもんをあけて、せまい道をみずうみのほうにむかっておりていきました。家から見えるあいだは、ゆっくりあるいていましたが、見えなくなると、たちまち足を早めました。
それは一身一家いっしんいっかにかかわる大事であったが、しかし、幸いにであってじぶんさえ云わなければ何人たれも知っている者はなかった。武士は安心した。彼はつかつかと藩邸の小門こもんの口へ往った。
山寺の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
右へ延びた方の廊の端に門番の女が住んで居て翁の製作室アトリエが右手の階下にあることを教へてれた。僕達は薔薇ばらの花の絡んで居る鉄柵の小門こもんくゞつて中庭を経て階下の室の鈴を押した。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
と、東側の小門こもんから小半町こはんちょうほど距たった辺に、こんもりした林がありました。
怪しの者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼は小門こもんを開けて、私を待つて其處に立つてゐた。