小掻巻こかいまき)” の例文
旧字:小掻卷
泣きくたびれて、いつしかスヤスヤと転寝うたたねにおちたお艶、栄三郎がいれば小掻巻こかいまき一つでも掛けてやろうものを。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
日当ひあたりいゝんですけれど、六でふのね、水晶すゐしやうのやうなお部屋へやに、羽二重はぶたへ小掻巻こかいまきけて、えさうにおつてゝ、おいろなんぞ、ゆきとも、たまとも、そりや透通すきとほるやうですよ。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
壜を持ったまま、立って室の四隅へ行って、そこに一二滴ずつ振りかけた。斯様かように打ち興じた後、白地の浴衣ゆかたに着換えて、新らしい小掻巻こかいまきの下にやすらかな手足を横たえた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
誰かそッと来て、信長のうえへ、小掻巻こかいまきを掛けて行った。さいと呼ぶ侍女こしもとであった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あさひは小掻巻こかいまきをかけ、枕元のきまった場所へ煙草入れと笹飴の鑵を置いた。
虹の橋 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
麻の葉染めの小掻巻こかいまき——
暗がりの乙松 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
見ると、その長火鉢の向こう側に座蒲団が二つならべて、小掻巻こかいまきが丸めてある。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)