小姑こじうと)” の例文
きのふや今日けふ嫁に行つたのでは無し、もう足掛け四年にもなり、お春といふ子までもある。しうと小姑こじうとの面倒があるでは無し、主人の小幡は正直で物柔かな人物。
半七捕物帳:01 お文の魂 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
おつねにぶつかつても、ぷいと横向いて、言葉一つかはさなかつた、兄嫁にしても小姑こじうと根性つて何ていやだらうと、眉をしかめ、お互に欠くべからざる要事があれば
一の酉 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
「そんなに惡くはございません、——お松さんはあの通りで、世間の小姑こじうととは氣風が違ひますから」
夫の留守にはこの家のあるじとして、彼はつかふべき舅姑きゆうこいただかず、気兼すべき小姑こじうとかかへず、足手絡あしてまとひの幼きもだ有らずして、一箇ひとり仲働なかばたらき両箇ふたり下婢かひとに万般よろづわづらはしきをまか
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
渠等が慈愛なる父母の掌中をでて、其身をいたす、舅姑はいかむ。夫はいかむ。小姑こじうとはいかむ。すべての関係者はいかむ。はた社会はいかむ。在来の経験に因りて見る処のそれらの者は果していかむ。
愛と婚姻 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
異腹はらちがひ小姑こじうとで此世をお送り遊ばす御量見でいらつしやいまするか
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
きのうや今日きょう嫁に行ったのでは無し、もう足掛け四年にもなり、お春という子までもある。しうと小姑こじうとの面倒があるでは無し、主人の小幡は正直で物柔らかな人物。
半七捕物帳:01 お文の魂 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
扱帶しごきを解いてやつたのは、殺されたお紋だと聽いたが、結び目がどうなつて居たか、仲の良い嫁と小姑こじうとだからそつとお香に話してゐるかも知れない——それからもう一つ
尤も、同じ家の離屋はなれに、小姑こじうとをさめも祭を嫌つて留守をして居るとは知る由もありません。
「お婿むこさんの眞太郎さんは、好い男だけれど生れつき身體が弱い上に、——おしうとさんの八郎兵衞さまは、そりや良いお年寄だけれど、小姑こじうとや、かゝりうどが三人もあるんですもの」
大の仲好し——と言つたつて、誰も本當にはしてくれないでせうよ、出戻りの小姑こじうとと、十九になつたばかりの嫁ですもの。でもあの人は、そりや可愛らしい、花嫁人形のやうな人よ。
内儀のお縫と、小姑こじうと——即ち主人の妹のをさめは同じ年の二十二、向うが殺されなければ、私が死ぬ——と思ひ込んだ矢先、この間から、幾度となく、お縫の上に危險が襲ひかゝりました。
小姑こじうとのお松も、弟の吉三郎も、下女のお越も、番頭の總助も、猿屋町の粉屋のお光も、小唄の師匠のお角も、こと/″\く殺すだけの動機と機會とを持つて居るわけですが、疑はないとなれば
氣の強い利巧な小姑こじうとは、自分が出戻りといふ、弟妹への遠慮もあるのでせう。
さうは言ふものの、お縫も包みきれない嬉しさを、兩手の袖で、う胸のあたりを抱くのです。内儀も小姑こじうとも、同じ年頃と聽きましたが、青白い月の光の下では、ぞつとするほど美くしい二十一、二。