小商売こあきない)” の例文
私はね、分けて貰った金で小商売こあきないでもしたいし、当分は身体の方もいたわろうと思うの。それよりね、そんな事が、いつまで続くとは考えていないさ。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
仲次郎さんが小商売こあきないにでもとりつけばいいだろうと思って、六さんの分といっしょにお金を都合することにしたんです
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
故人と昵懇じっこんであった孤蝶老が、往時一葉が子供相手に営んでいた一文菓子屋のことを、「如何にも小商売こあきない」と云った口前を、私はいまなお覚えている。
安い頭 (新字新仮名) / 小山清(著)
廻してさ、二三十集まったら、何か、こう小商売こあきないでもやらかそうかと思うんだが。何うでえ師匠
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
吾家うちでは子供もふえる、小商売こあきないには手を焼く、父親おやじ遊蕩のらくらあてにもなりませんし、何程なんぼまさりでも母親の腕一つでは遣切やりきれませんから、いやでも応でも私は口を預けることになりました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
村方の小商売こあきないをするものに田地をえら持ってるものは有りませんから、おらア方へえに来ねえで誠にハア食い方にも困るような訳でごぜえますから、何うかマア商人あきんど並に仲間入りをして
小商売こあきないの一つも始め、飯盛上めしもりあがりの女でも連合つれあいにして、これからは温和おとなしく暮して行きてえものだと思わねえこともねえが、天道様てんとうさまがそうはおろしてくれめえから、とてものことにまた逆戻りで
子供の生れる当もないのに、ぶらぶら遊んでいるよりは、小商売こあきないでもする資本を拵えるほうがよい、女は二三年みっちりかせぐつもりだと云って高浦食堂へ住みこんだのである。
留さんとその女 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
小商売こあきない資本もとでぐらいはそこから出て来るだろう