ねか)” の例文
旧字:
夫婦はそこから一段高い次の部屋に寝ていたが、お島は大きくなってからは大抵たいてい勝手に近い六畳の納戸なんどねかされていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
娘「いゝえ親一人子一人でございます、長い間の病気で薬代や何かの為に何もかも売り尽しまして、只今では雇人も置かれません故、親父をねかしつけておいて一人で参ります」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「ええお月様は小羊でも山のうさぎでもねかしておやんなさるよ」
(新字新仮名) / 竹久夢二(著)
「どうせ冬までねかしておくものだ」お島は心の奥底によどんでいるような不安と恐怖を圧しつけるようにして言った。そしてこの頃なじみになった家へ、それをだきこんで行った。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「そうそう、こんな事しちゃいられないのだっけ。店のものがみんな私を待っているでしょう」お島は蚊帳かやのなかで子供をねかしつけている、姉の枕元で想出したように言出した。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)