家主おおや)” の例文
家主おおやさんが大変に案じておでゞ、其のお父さんが、たった一人の娘をなくし今まで知れないのは全く死んだに違いない
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
家主おおやさん、これがその騙りの家に抱えられて、亡者をやっていた奴でさあ、これがいっち証拠だ」
立山の亡者宿 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
家主おおやさん、水口みずぐちしきい修繕なおしてくれなくっちゃ困るじゃねえか。もう腐っているんだ』
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし家主おおやが一軒置いて隣にありましたので、小田さんは許可ゆるしを得てきて、私たちは、空き家の中に入りました。表の戸には錠が下ろしてなく、家の中はずいぶん荒らされておりました。
紫外線 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
一々お前にさからって済まねえが、——今朝っから気色きしょくの悪いことが続くんだよ、家主おおや親仁おやじがやって来て、立退く約束で家賃を棒引にした店子たなこが、此方の足元を見て、てこでも動かねえから
「向こうに貸家札の張ってある家、家主おおや様はどこなのでございましょう?」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
いつになく裏表の戸がまっているのを見て、裏の家主おおやさんに知らせた。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「いったいここの家主おおやさんはどちらですい」
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
家主おおやの金井が飛びこんできたとき
虹の橋 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
家主おおやさんへ行って、火鉢を二つ三つと、帳場で使う当り箱と、掛物を
そのうち家主おおやさんの養鶏所からとりき声が二三度きこえたように思いましたが、それでも、そんな恐しい夢が、あとからあとからハッキリと見えて来ますので、どうしても醒める事ができません。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
家主おおやさんに、そう言ってくら」
虹の橋 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)