安倍貞任あべのさだとう)” の例文
大きくなって、義家よしいえはおとうさんの頼義よりよしについて、奥州おうしゅう安倍貞任あべのさだとう宗任むねとうという兄弟きょうだいあらえびすを征伐せいばつに行きました。
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
それは衣川ころもがわの役を主題としたもので、源義家と安倍貞任あべのさだとうとが戦中に立て引きをする処、……例の、衣のたてはほころびにけりという歌の所であります。
袖萩祭文そではぎさいもん」という芝居の中に、桂中納言に化けて出た安倍貞任あべのさだとうが、花道の中ほどで、引き抜きになり、「奥州のあらゑびす」と威張るところがある。
正しい記録では『水左記すいさき』の康平六年二月十六日の条に、安倍貞任あべのさだとう以下の首級を都に渡して、西獄の𬄚の木にさらしたとあるそうである(古名録巻二九)。
アテヌキという地名 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
奥州の安倍貞任あべのさだとうを捕虜として殿上人が庭へすえたとき、梅の花を示して「これはなんという花か知っているか」とたずね、かえって貞任から「わが国の梅の花とは思えども——」と
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここには今でも安倍貞任あべのさだとうの母住めりと言い伝う。あめるべき夕方など、岩屋いわやとびらとざす音聞ゆという。小国、附馬牛つくもうしの人々は、安倍ヶ城のじょうの音がする、明日あすは雨ならんなどいう。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)