“婢(おはした)” の例文
呼鈴(よびりん)を烈(はげ)しく鳴(なら)して、「矢島をこれへ。」と御意あれば、畏(かしこ)まりて辷出(すべりい)づる婢(おはした)と入違(いりちがい)に、昨日(きのう)馬を馭(ぎょ)せし矢島由蔵、真中の障子を開きて縁側に跪(ひざまず)き
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「御帰(おかえり)ッ。」と書生が通ずれば、供待(ともまち)の車夫、踞(つくぼ)うて直す駒下駄を、爪先に引懸(ひっか)けつ、ぞろりと褄(つま)を上げて車に乗るを、物蔭より婢(おはした)が覗(のぞ)きて、「いつ見ても水が垂るようだ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)