婆羅門バラモン)” の例文
「明らかに悪手あくしゅだな。兵書の説かざるところだよ。婆羅門バラモンの秘巻にも(手紙は一度二度目は殿御がお直々)といふ明文が見えてをる」
西東 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
これ婆羅門バラモン、かくのごとくはかりごとをなす。迦葉かしょうの曰く、『なんじがもしねむるとき、神識じんしき出入す、傍人見しやいなや』なきなり
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
昔奈良朝の時、行基菩薩はあれ程の大徳であったけれども、世俗の法によって婆羅門バラモン僧正の下に着座をした。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
足利末にできた『舞曲口伝』には、「この曲は天竺の楽なり。婆羅門バラモン伝来なり。一説。沙門仏哲これを伝ふ。唐招提寺にありと云ふ。また后嫉妬しっとさまといふ」
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
求道の手法としては吠陀ヴェーダ婆羅門バラモン神学にるところが多いが、最後の到着は究竟くきょうの一味を持っている。
褐色の求道 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
火記という名前には印度インドの匂いが感ぜられるので、露伴先生は印度古代の婆羅門バラモン教が、南方海路から呉越の地に伝えられ、それが中国固有の上帝天帝の思想と結びついて
天台てんだいの或る和尚おしょうさんが来られて我病室にかけてある支那の曼陀羅まんだらを見て言はれるには、曼陀羅といふものは婆羅門バラモンのもので仏教ではこれを貴ぶべきいはれはないものである
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
涅槃ねはん釈迦しゃかに一目会い、その全人格に霊覚され、「あしたに道を聴き、ゆうべに死すとも可なり」と叫んで、即座にくびれて死んだという、ある婆羅門バラモンの心持ちが、庄三郎にもあったのであった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
婆羅門バラモン大師の半偈はんげの経とやら、はんにゃはらみとは云わないかな……。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)