奥郭おくぐるわ)” の例文
ばらばらと櫓梯子やぐらばしごりると、ふたりは文字もんじ奥郭おくぐるわ内部ないぶへはいった。そして、岩壁がんぺき洞窟どうくつ利用りようしててられてある、とりでの本丸ほんまるのなかへ走りこんだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
奥郭おくぐるわの深園にいるお方、どうして、私などが近づけましょう。言葉を交わしたことなどありません」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
竹童ちくどうをのこして、陣馬じんばはら花畑はなばたけ危変きへんをのがれてきた咲耶子さくやこが、とりでの奥郭おくぐるわへとびおりざま、狂気きょうきのように、櫓番やぐらばん武者むしゃだまりのさむらいへ、声をからして、んでもさけんでも、ひとりとして
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、火薬かやくからえひろがりそうな奥郭おくぐるわへザッザと水をかけさせている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)