なだら)” の例文
汽車が武蔵むさしの平野へ降りてくるにつれて、しっとりした空気や、広々となだらかな田畠や矮林わいりんが、水から離れていた魚族の水に返されたような安易を感じさせたが、東京がちかづくにつれて
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
間が浅い凹地くぼちになつて、浮世の廃道と謂つた様な、塵白く、石多い、通行とほり少い往還が、其底を一直線ましぐらに貫いてゐる。ふたつ丘陵おかは中腹から耕されて、なだらかな勾配を作つた畑が家々の裏口まで迫つた。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
それは彼のあしを止めたところが郊外かうぐわいにあつたからで、そこは平野神社から銀閣寺へ途中とちうえる衣笠山のなだらかな姿がのきの下から望まれるやうな場所にある、まづしい家であつた。
(新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
間が淺い凹地になつて、浮世の廢道と謂つた樣な、塵白く、石多い、通り少ない往還が、其底を一直線に貫いてゐる。兩つの丘陵は中腹から耕されて、なだらかな勾配を作つた畑が家々の裏口まで迫つた。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
なだらかに麦の青める
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)