天野あまの)” の例文
そのあいだに、天野あまの猪子いのこ足助あすけなどが、鉾先ほこさきをそろえてきたため、みすみす長蛇ちょうだいっしながら、それと戦わねばならなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
少なくともその貯蔵の酒には品質の高下こうげがあって、奈良とか河内かわち天野あまのとか、い酒ができると、その評判が高くなり、人がその名を聴いて飲んでみたがるようになった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
温泉宿は湯屋(加藤廣吉かとうひろきち)藤屋(加藤文左衛門かとうぶんざえもん)藤田屋(加藤林平かとうりんぺい)上野屋(渡邊定吉わたなべさだきち)伊豆屋(八龜藤吉やかめとうきち)などで、当今は伊藤周造に天野あまのなにがしなどいう立派な宿も出来まして
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「おい、天野あまの、魚を縦に切るやつがあるか。骨などあってもかまわんから、こう横にぶった切って、たたきこんでしまえ。おうい、瀬川せがわ! 貴様、大根を買いに行くと言って、これは牛蒡ごぼうではないか」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「てまえどもでも、その天野あまの酒をけていただき、いってみれば、まあ、その下請したうけのひさでございますが」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかもその酒がいつでも有ったわけでなく、造り酒屋の一般になったのは、京都附近ですら足利期の中頃、それも奈良とか河内かわち天野あまのとかの、おかしな話だが御寺から譲ってもらうものになっていた。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
またそれがしは、佐分利さぶり五郎次でござる、すでにごぞんじであろうが、ざんねんながら、伊那丸与党いなまるよとう奸計かんけいにかかり、主君の梅雪ばいせつたれ、われわれ四天王てんのうのうちたる天野あまの
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天子てんしたけのふもとから、南すそのへかけて、まんまんと陣取ったるが本陣と思われまする。オオ、しかも、その旗印はたじるしは、徳川方とくがわがた譜代ふだい天野あまの内藤ないとう加賀爪かがづめ亀井かめい高力こうりきなどの面々
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)