大日坂だいにちざか)” の例文
大日坂だいにちざかに駈け登ったらしい安城郷太郎、ほのおのような息をお鳥に吹き掛けるとむんずと、手を捕って庭口へ引入れました。
裸身の女仙 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
丁度この見晴しと相対するものはすなわち小石川伝通院でんづういん前の安藤坂あんどうざかで、それと並行する金剛寺坂こんごうじざか荒木坂あらきざか服部坂はっとりざか大日坂だいにちざかなどは皆ひとしく小石川より牛込赤城番町辺あかぎばんちょうへんを見渡すによい。
故郷くにの父親が病気になったと云う電報を遅く受取って、牛込うしごめ天神町てんじんちょうへ往き、もう寝ていた先輩を起して旅費を借り、小石川こいしかわ原町はらまちの下宿へ帰るつもりで、十二時近くなって大日坂だいにちざかまで来たところで
指環 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
髮形をすつかり堅氣の娘風にしたお靜の後姿——ぢやうあはせ緋鹿ひかの子おびが、唐花屋の暖簾のれんをくゞつて見えなくなつた時は、大日坂だいにちざかの下から遠く樣子を見て居た錢形の平次も
髪形をすっかり堅気の娘風にしたお静の後ろ姿——黄八丈のあわせ鹿帯が、唐花屋の暖簾のれんをくぐって見えなくなった時は、大日坂だいにちざかの下から遠く様子を見ていた銭形の平次も
大日坂だいにちざかの下まで来ると、足をとどめて、一応四方あたりを見廻しましたが、砂利屋が建て捨てた物置小屋の後ろへ廻ると、節穴だらけな羽目板へこぶしを当てて、二つ三つ妙な調子に叩きました。
大日坂だいにちざかの下まで來ると、足を停めて、一應四方あたりを見廻しましたが、砂利屋が建て捨てた物置小屋の後ろへ廻ると、節穴だらけな羽目板へこぶしを當てゝ、二つ三つ妙な調子に叩きました。