大掃除おほさうぢ)” の例文
大掃除おほさうぢときに、床板ゆかいたはがすと、した水溜みづたまりつてて、あふれたのがちよろ/\と蜘蛛手くもではしつたのだから可恐おそろしい。やしき……いや座敷ざしききのこた。
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「馬鹿野郎、ほうきへお辭儀なんかしたつて、大掃除おほさうぢの義理にはならないよ。疊をあげるのが嫌なら、その手桶へ水でも汲んで來て、雜巾掛の方を手傳ひな」
眞黒まつくろだつてやぶれてたつて、煤拂すゝはらひ大掃除おほさうぢにはかまふものか、これもみぐるしからぬもの、塵塚ちりづかちりである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
家の中は又大掃除おほさうぢほど探し拔かれましたが、平次はもうそんな事を當てにしません。フラリと飛出すと、ツイ寮の入口から、向島の土手どての上に驅け上がつてしまひました。
「搜しましたよ。大掃除おほさうぢほどの騷ぎをしましたが、床下にも、天井裏にも、押入にも疊の目にも、のみ一匹隱れてゐるこつちやございません。この通り、親分は疳性かんしやうで、掛物も置物もない部屋です」
「疊は新しくない樣だが、近頃表替をしたか、大掃除おほさうぢをしたらしいな」
「フ、フ、飛んだ大掃除おほさうぢねエ、煤掃すゝはきなら暮に濟んだのに」
「近頃二階の五疊の疊の表替か、大掃除おほさうぢでもしたのか」