大御心おおみこころ)” の例文
天皇尊すめらみこと大御心おおみこころを心とせずして、己々おのおのがさかしらごゝろを心とする」のは、すなわち、異国あだしくにから学んだものだと言ってある。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
かれはしばしば「陛下へいか」とか「大御心おおみこころ」という言葉を口にしたが、その時だけは直立不動の姿勢になり、声の調子もいくぶん落ちつくのだった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
もしそんなことがあったらと大御心おおみこころが動いて、先帝の后の宮へ姫宮の御入内ごじゅだいのことを懇切にお申し入れになった。
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)
母はもとより天道の大御心おおみこころにはかなわぬ生立おいたち、自分の体をにえにして、そして神仏かみほとけの手で、つまり幽冥ゆうめいの間に蝶吉の身を救ってやろう、いずれ母娘おやこが、揃って泥水稼業というは
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かしこくも、一億民草の康寧こうねいと、人類の福祉とを、深く御軫念しんねんあらせらるる天皇陛下の大御心おおみこころを体し、之にい奉るべく、八月九日以来、軍統帥部ぐんとうすいぶとも連絡し、慎重なる熟議を重ね
「陛下の軍隊を、資本家どものために殺させては、大御心おおみこころにそい奉るゆえんではないな」
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
まして老人たちの天命が終わってくなってまいりますことは大御心おおみこころにおかけあそばすことではございません
源氏物語:19 薄雲 (新字新仮名) / 紫式部(著)
そもそもかく外国々とつくにぐによりよろづの事物ものごとの我が大御国おおみくにに参り来ることは、皇神すめらみかみたちの大御心おおみこころにて
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
目つきもよほどだるそうで、平生からなよなよとした人がいっそう弱々しいふうになって寝ているのであったから、これはどうなることであろうという不安が大御心おおみこころを襲うた。
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)