埋葬まいそう)” の例文
にちて、アンドレイ、エヒミチは埋葬まいそうされた。その祈祷式きとうしきあずかったのは、ただミハイル、アウエリヤヌイチと、ダリュシカとで。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ぼうぜんと立ちつくす三人をはげまして、富士男は洞穴を出て、もとのぶなの木の下にきて地をほり、ていねいに白骨を埋葬まいそうした。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
十二、各事件を通じて、死体はいずれも最少の費用と、最大の速度と、もっとも不鮮明なる方法とによって埋葬まいそうされていること。
浴槽の花嫁 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
「丞相、あなたのお眼には、そう映りますか。それがしの眼には、墳墓ふんぼに並べて埋葬まいそうする犬鶏けんけい木偶でくや泥人形のようにしか見えませんが」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つまりきみの棺桶かんおけなのさ。このふたりのボーイ君が、きみをいま、そのトランクの中へ埋葬まいそうしようってわけさ。ハハハ……。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
水島生みずしませいが来た。社会主義しゃかいしゅぎ神髄しんずいを返えし、大英遊記だいえいゆうきを借りて往った。林の中でひろったと云って、弾痕だんこんあるつぐみを一持て来た。食う気になれぬので、楓の下に埋葬まいそう
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
まるで埋葬まいそうに来た近親者が引き返すのを、埋められた穴の中から聞くようにひびいたそうである。
地図にない街 (新字新仮名) / 橋本五郎(著)
この死人はまだ埋葬まいそうがすまないので、お寺にあずけておいてあったのです。
投げ出してるわが子の足に自分の手を添えその足をわが顔へひしと押し当てて横顔に伏している妻は、埋葬まいそうの話を聞いてるか聞いていないか、ただ悲しげに力なげに、身をわが子の床に横たえている。
奈々子 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
まきにした死骸を、海口へ捨てにでも行くらしい家来たちを追いかけて、大機の亡骸なきがらを、彼がいて、この空地の一隅へ埋葬まいそうさせたものだった。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「して、兄の遺骸いがいは、どこへ埋葬まいそうしたんですか」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)