地味ちみ)” の例文
〔この山は流紋凝灰岩りゅうもんぎょうかいがんでできています。石英粗面岩せきえいそめんがんの凝灰岩、大へん地味ちみわるいのです。赤松あかまつとちいさな雑木ぞうきしかえていないでしょう。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
喜海は「ごきげんで結構でございます。これならきっと日本一の茶畑になりましょう。地味ちみもよほどよろしいようでございます」
地味ちみの痩せをそのまま姿にしているひょろ長い松だ。——その木陰に、ちらと、猩々緋しょうじょうひ袖無そでなし羽織のすそがひらめいていた。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
最早もう地味ちみに合わぬ球葱たまねぎを無理に作ろうともせぬ。最早胡麻を逆につるして近所の笑草にもならぬ。甘藷苗の竪植たてうえもせぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
のぼりて見れば、昨夜この痛さにてはと思ひし程にはあらず。サマリヤは概してユダヤよりも地味ちみまされり。
幸いにして地味ちみは豊かに肥え、労少なくして所得はもとの地にまさり、山野の楽しみも夏は故郷よりも多く、妻子眷属けんぞくとともにいれば、再び窮屈な以前の群れに
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
然るに北多摩郡でももっとも東京に近い千歳村の僅か五百五十町歩の畑地はたちの中、地味ちみも便利も屈指くっしの六十余町歩、即ち畑地の一割強を不毛ふもうの寺院墓地にして了うのは、惜しいものだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「しかし地味ちみはどうかな。」と言ひながら、かがんで一本のすゝきを引き抜いて、その根から土をてのひらにふるひ落して、しばらく指でこねたり、ちよつとめてみたりしてから云ひました。
狼森と笊森、盗森 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「しかし地味ちみはどうかな。」と言いながら、かがんで一本のすすきを引きいて、その根から土をてのひらにふるい落して、しばらく指でこねたり、ちょっとめてみたりしてから云いました。
狼森と笊森、盗森 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
田畑たはた地味ちみのお調しらべですか。)
泉ある家 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)