団洲だんしゅう)” の例文
ただこういったままではらはらと涙でも流して団洲だんしゅう式の思い入れでもした方が聴衆は湧きたつかもしれないのであります。
俳句とはどんなものか (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
つづいて十一月には一番目『太功記たいこうき馬盥ばだらいより本能寺ほんのうじ討入まで団洲だんしゅう光秀みつひで菊五郎春永はるながなり中幕団洲の法眼ほうげんにて「菊畑きくばたけ」。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
女房の九女八は、女団洲だんしゅうで通る素帳面きちょうめんな、楽屋でも家庭うちでも、芸一方の、言葉つきは男のようだが、気質のさっぱりした、書や画をよくした、教養のある人柄だった。
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
その中に二銭にせん団洲だんしゅうと呼ばれた、和光わこう不破伴左衛門ふわばんざえもんが、編笠あみがさを片手に見得みえをしている。少年は舞台に見入ったまま、ほとんど息さえもつこうとしない。彼にもそんな時代があった。……
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それより小道具衣裳方あり廊下のはずれより離れて団洲だんしゅうの室に至る。小庭こにわをひかへて宛然さながら離家はなれやていをなせり。表梯子おもてはしごのぼれば猿蔵さるぞう染五郎二人ににんの室あり家橘栄三郎これに隣してまた鏡台を並ぶ。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)