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唯々
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ただただ
ふりがな文庫
“
唯々
(
ただただ
)” の例文
故人をあやまり伝えてもなりませず、何か
評
(
ひょう
)
をやるようにも当りますから、
唯々
(
ただただ
)
、かのな、婦人との模様だけ、お物語りしましょうで。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
群生した樹々は
唯々
(
ただただ
)
、ひらけた空に向って、光を求めて争って伸びて行ったのだ。トド松は
苔
(
こけ
)
に喰い附かれ、
蔦
(
つた
)
にからまれて立っていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
兄の泉太ですら
亡
(
な
)
くなった母さんをよく覚えていないと言う程で、二人の子供は
唯々
(
ただただ
)
父を
便
(
たよ
)
りにし、父と共に住むことを何よりの幸福としている。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
嵐と火事の
真只中
(
まっただなか
)
に囲まれた京の人々は全く半狂乱でその為す所を知らずと云う有様、皆もう生きた心持もなく、
唯々
(
ただただ
)
自然の成り行きにまかせて見ているより仕方がなかった。
現代語訳 方丈記
(新字新仮名)
/
鴨長明
(著)
次のご文は、時に小禽
既
(
すで
)
に終日日光に浴し、
歌唄
(
かばい
)
跳躍して、疲労をなし、
唯々
(
ただただ
)
甘美の睡眠中にあり。
他人事
(
ひとごと
)
ではないぞよ。どうぢゃ、今朝も今朝とて穂吉どの
処
(
ところ
)
を替へてこの身の上ぢゃ
二十六夜
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
▼ もっと見る
大江山警部は、この執念ぶかい犯人のトリックに、
唯々
(
ただただ
)
呆
(
あき
)
れるばかりだった。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ご郷里において、竹中家のご
薫陶
(
くんとう
)
を得ればあれにも何よりよい修業です。しかし、かかる世の
慣
(
な
)
らい、松千代の身命については、どうか少しもお
庇
(
かば
)
いなく、
唯々
(
ただただ
)
、ご主命のままの者と思召し下さい。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
子供に勧めてこういうものを書かして
寄
(
よこ
)
したらしい節子の心持も思われて岸本は
唯々
(
ただただ
)
気の毒でならなかった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
昨日は
白耳義
(
ベルジック
)
ナミュウルの
要塞
(
ようさい
)
が危いとか今日は独逸軍の
先鋒
(
せんぽう
)
が国境のリイルに迫ったとか、そういう戦報を朝に晩に待受ける空気の中にあっては、
唯々
(
ただただ
)
市民と一緒に成って心配を分け
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
唯
常用漢字
中学
部首:⼝
11画
々
3画
“唯々”で始まる語句
唯々諾々
唯々諾
唯々否々
唯々黙々