唐戸からと)” の例文
黒雲くろくもいて、んでき、いなづまのやうに、てつもんいし唐戸からとにも、さへぎらせず、眞赤まつかむねほのほつゝんで、よわをんなひました。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
何げなく主膳はさかいの唐戸からとを開けた。が、壁代かべしろが垂れていてどちらの姿もよく見えないのでなお一ばい大きく開けた。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
唐戸からとのような大きな障子が、すうーっとあいて、有明の行燈あんどんの中が、にわかにまたたきをはじめました。
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
主膳は始終おもてを上げず、またそうっと、片手でさかいの唐戸からとを閉めた。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)