品行ひんこう)” の例文
人間の生計あるいは生活あるいは品行ひんこうにおいていわゆる表裏ひょうり(ことにいわゆるなる文字を使うことに注意をうながしたい)
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
アラがあることは差支さしつかへない、品行ひんこうの悪いのは困るけれども、もうそろ/\分別が出てもいゝとしだから、亭主を持つたらまさか浮気をすることもあるまい
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それ数奇者すきものには得て癖がありがち、家に容貌きりょうなら品行ひんこうなら申し分のない女房を持ちながら、かえってその女房より容貌も位も十段も劣った女におぼれて、迷い込む者もあるものよ
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かれ天性てんせいやさしいのと、ひと親切しんせつなのと、礼儀れいぎのあるのと、品行ひんこう方正ほうせいなのと、着古きぶるしたフロックコート、病人びょうにんらしい様子ようす家庭かてい不遇ふぐう、これらはみなすべ人々ひとびとあたたか同情どうじょう引起ひきおこさしめたのであった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)