あまね)” の例文
わが師答ふらく、死未だ彼に臨まず、また罪彼を苛責に導くにあらず、たゞその知ることあまねきをえんため 四六—四八
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
還俗は医者をめることなのです。つまり僧と同じ扱いなのでしょう。後に男爵西あまねとなったのはこの人でした。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
大原氏が今日まで、幾多の大きな社会的事業に貢献せられたことはあまねく知られた事実である。今また吾々を信じられて新しい仕事を提案せられたのである。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
将又はたまた明六社なる者が其領袖りやうしう西あまね、津田真道まみち、森有礼等にりて廃刀論、廃帝論、男女同権論の如き日本歴史に未曾有みぞうなる新議論を遠慮会釈なくき立てしが如き
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
それが町中とか山路やまじとかいうのでなくって、枯野であるところに、殊に日のあまねく照っている暖さを思わしめるのである。また「或日」という初五字が働いているのである。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
我邦の最初の留学生で泰西法律学の開祖の一人なる西周助(あまね)先生は、文久年間にオランダで学ばれた学科の中 Natuurregt を「性法学」と訳しておられる。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
しかしいずれにしてもこの二体は、飛鳥仏あすかぶつの典型たるのみならず、法隆寺創建の由来と太子薨去こうきょを正確に伝える無比の記念として、光背銘文とともにあまねく認められているところである。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)