吩附いひつけ)” の例文
「天麩羅二つ。」と吩附いひつけてやつてドシリと胡坐をかくと、不取敢とりあへず急がしく足袋を穿き代へて、古いのを床の間の隅ツこの、燈光あかりの屆かぬ暗い所へ投出した。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
祭りの夜は田町の姉のもとへ使を吩附いひつけられて、くるまで我家へ帰らざりければ、筆やの騒ぎは夢にも知らず、翌日あすになりて丑松文次その外の口よりこれこれであつたと伝へらるるに
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まつりの田町たまちあねのもとへ使つかひを吩附いひつけられて、ふくるまで我家わがやかへらざりければ、ふでやのさわぎはゆめにもらず、明日あすりて丑松うしまつ文次ぶんじそのほかくちよりこれ/\でつたとつたへらるゝに
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
印半纏しるしばんてんを着た若い男だつたので、渠は聞えぬ程に舌打をしたが、「天麩羅二つ。」と吩附いひつけてやつてドシリと胡坐をかくと、不取敢急がしく足袋を穿き代へて、古いのを床の間の隅ツこの
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)