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名乘
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なのり
見られ其方儀
去十二月二十七日の夜當方の
下役と
名乘し者に召捕れ候趣き其節の
手續明白に申立よと尋ねられければ文藏は
涙を
欺き私しに
宿へ下り候は
不埓なり
然りと雖も
御公儀を
僞らざる
故過料金三兩
次に盜賊伊兵衞
儀重罪なれども
神妙に
名乘出其上喜八を
助け候
段奇特に付
御慈悲を以て多くの
罪を
手當として江戸表へ
名乘出んとせし船中にて
難風に出合
船頭も
水主も
皆々海底の
木屑となりしが
果報めで
度吉兵衞
一人は
辛ふじて
助かり藤が原なる拙者の
隱れ家へ來り右の次第を