台石だいいし)” の例文
旧字:臺石
鳥居の台石だいいしからころげ落ちたのかとおもって、そこらをきょろきょろ見まわしましたが、それらしいもののかげもかたちも見えません。
たにしの出世 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
墓は大きい台石だいいしの上に高さ五尺ほどの楕円形の石をえてあって、石の表には慈望遊謙墓じもうゆうけんはか、右に寛延○年と彫ってあるが、磨滅しているので何年かく読めない。
磯部の若葉 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
母が一疋いっぴき取て台石だいいしの上に置くと私はコツリと打潰うちつぶすと云う役目で、五十も百もずその時に取れるけ取て仕舞しまい、ソレカラ母も私も着物を払うてぬかで手を洗うて
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ソノ下ニ台石だいいしヲ据エテ、ソノ前ニ線香立テノ穴ト手向ケノ水ヲ供エル穴トヲ穿ッテアルアノ形式、アレハイカニモ平凡デ、俗ッポクッテ、何事ニモ旋毛曲つむじまがリノ予ニハ気ニ入ラナイ。
瘋癲老人日記 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
有馬の猫塚は釣道具を売っている爺さんが話したよりも、来て見れば更につまらない石のかけらに過ぎなかった。果してそれが猫塚の台石だいいしであったか否かも甚だ不明な位であった。
不図墓地に入った。此処は余も知って居る。曾て一葉いちよう女史じょしの墓を見に来た時歩き廻った墓地である。余は月あかりに墓と墓の間をうて歩いた。誰やらの墓の台石だいいしに腰かけて見た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そして大急ぎでもって御影石みかげいし台石だいいしを作ることになった。
東京要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)