古鏡こきょう)” の例文
博士はかせくびをかしげながら、かばんのなかの、古鏡こきょうをとりして、小田おださんにしめしました。
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それで全く心残りなくなったものだろう、その黒髪と古鏡こきょうとはすなわちこれだ
雪の透く袖 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
と先刻納所なっしょをして、持ってこさした、桐の箱を開けると、中から出たは、パサパサになった女の黒髪と、最早もう曇って光沢のない古鏡こきょうであったので、当時血気な私初めかたわらに黙って聞いていた兵卒も
雪の透く袖 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
娘はたちまちその蒼白く美しい顔に、会心かいしんえみもらして、一礼を述べてのちわたしがほんのこころばかりの御礼の品にもと、かねてその娘が死せし際に、そのひつぎに納めたという、その家に古くより伝わった古鏡こきょう
雪の透く袖 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)