叡聞えいぶん)” の例文
幕府の老中らは宮様の御降嫁をもって協調のじつぐるに最も適当な方法であるとし、京都所司代の手を関白かんぱくを通して、それを叡聞えいぶんに達したところ
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
さいとし万里小路惟房卿までのこうじこれふさきょうをお使いとして、微臣信長に、密勅を賜わったが、今また、信長上洛じょうらくの催しを叡聞えいぶんあらせられて、ひそかに、優渥ゆうあくなる御綸旨ごりんじと、金襴きんらん戦袍せんぽうとを賜わった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
チチコフと一緒に立派な箱馬車に乗って何かの会合へ出かけてゆき、気持の好い応対ぶりで一同をすっかり俘虜とりこにしてしまう、やがて、彼等のそうした細やかな友情が叡聞えいぶんに達して
衆僧これには大いに閉口し、まさかにつかみ合いをする訳にも往かぬと、互に円い頭を悩しているとのことが、白河法皇の叡聞えいぶんに達し、遂に勅裁をもって分配法を定められたということである。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
侍従局から叡聞えいぶんに達したのでありましょう。
此度このたび、南北の議奏、叡聞えいぶんに達し、諸宗の依怙えこ、人心のはかりに依る。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
外夷がいい拒絶談判の期限等にいたるまで叡聞えいぶんを欺きたてまつる。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)