卜者ぼくしゃ)” の例文
かつて高島門下の児玉呑象という卜者ぼくしゃが、同門の五、六人と共に吾人の門を叩いたことがある。雑談の後に、ほんの座興ではあるが
まずこれを方位専門の卜者ぼくしゃにたずねたれば、「この土蔵は三年の後に建つるにあらざれば、必ず戸主の身上に災害を招くべし」
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
自分の祖父は医師と卜者ぼくしゃを業とし、四方の村々から療治やうらないに招かれて、ほとんど寸暇すんかもないくらいであった。
自分の姓名せいめいと生年月日とをしたため、これに現在の職業を書き加えて、他に発展のみちを講じたいが、何をなしたらよかろうかと、あたかも卜者ぼくしゃたずねるがごとき信書がくる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
卜者ぼくしゃは羊の肝臓かんぞう凝視ぎょうしすることによってすべての事象を直観する。彼もこれにならって凝視と静観とによって真実を見出そうとしたのである。そのうちに、おかしな事が起った。
文字禍 (新字新仮名) / 中島敦(著)
新野しんやの居城に、歳暮や歳旦さいたんを迎えているまも、一日とて孔明を思わぬ日のない玄徳は、立春の祭事がすむと、卜者ぼくしゃに命じて吉日をえらばせ、三日の潔斎ものいみをして身をきよめた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ロシアにはツイガンという一人種がいるが、この人種に限って、女性は卜者ぼくしゃで運勢見と定まっておる。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)