テイブル)” の例文
そとが明るいだけに教場の中は暗くなって僕の心の中のようでした。自分の席にすわっていながら僕の眼は時々ジムのテイブルの方に走りました。
一房の葡萄 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
テイブル抽斗ひきだしはたった一つ開いて居りますが、中には大した重要なものが無く、これも取乱した様子を見出すほどではありません。
流行作家の死 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
その大きな石造せきざうの建物の中の一室——テイブルを二脚も三脚も並べた、電話の絶えず聞えて来る、クツシヨンの椅子の置いてある
アカシヤの花 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
私達が五つ六つのテイブルのあるきりの小さな食堂で、木の間ごしにちらちら見える湖水の面を眺めながら、セロリのついた野菜の皿に向っている最中、いましがた外から帰って来たらしい
晩夏 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
僕は急に頭の中が氷のように冷たくなるのを気味悪く思いながら、ふらふらとジムのテイブルの所に行って、半分夢のようにそこの蓋を揚げて見ました。
一房の葡萄 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
かれは何方どちらかと言へば狭い一室のテイブルかたはらにある椅子に腰をおろして、さう大した明るいとは言へない光線のもとに、寝床ベツトの上に敷かれた白いシイトや
(新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
けれどもすぐまた横眼でジムのテイブルの方を見ないではいられませんでした。胸のところがどきどきとして苦しいほどでした。
一房の葡萄 (新字新仮名) / 有島武郎(著)