卒直そっちょく)” の例文
極わめて卒直そっちょくなる科学的なる、唯物的なる、実証的なる思想によって裏付けされていることに想到するであろう。
全体主義 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
石が大きければ水煙もおびただしいと云った様なもので、傍眼わきめには醜態しゅうたい百出トルストイ家の乱脈らんみゃくと見えても、あなたの卒直そっちょく一剋いっこくな御性質から云っても、令息令嬢達の腹蔵ふくぞうなき性質から云っても
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「きみのいうことにも一理いちりはある。」と、いまでは本式ほんしきに主人になりすました影がいいました。「だいぶ親切しんせつ卒直そっちょくにいってくれられたのだから、わたしも、やはりしんせつに卒直にいこう。 ...
かの女は、華美でも洗練されてるし、我儘わがままでも卒直そっちょくな戸崎夫人のうわさは不愉快ふゆかいでなかった。そういう甲野氏もひがやすいに似ず、ずかずか言われる戸崎夫人をちょいちょいたずねるらしかった。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
卒直そっちょくに心内の苦悶や憂鬱や希望や怒りやらを叩き付けたような文学を要求した結果、自然発生的に、表現主義文学は産れたものであると云ってもよかろう。
独逸の範とすべき点 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)