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卑吝
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ひりん
ふりがな文庫
“
卑吝
(
ひりん
)” の例文
隠居した後も、道を行きつつ
古草鞋
(
ふるわらじ
)
を拾って帰り、水に洗い日に
曝
(
さら
)
して自ら
剉
(
きざ
)
み、出入の左官に与えなどした。しかし伊兵衛は
卑吝
(
ひりん
)
では無かった。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それからまた一方には体面上
卑吝
(
ひりん
)
の名を取りたくないと云う心もちがある。しかも、彼にとって金無垢の煙管そのものは、決して得難い品ではない。
煙管
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
否
(
いな
)
、彼をして
卑吝
(
ひりん
)
に陥らしむる余地がまるでない程に、代助は三千代を愛した。けれども、彼は三千代から何の用かを聞かれた時に、すぐ己れを傾ける事が出来なかった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
かかる
卑吝
(
ひりん
)
を
記
(
き
)
するは或は耻ずるが如きも、然れども未開地に於て成効を方針とするに於ては、尚此れよりも衣喰に於ける幾多の困難に当るを以て、甘じて実行せざるべからず。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
それ
驕
(
おごり
)
をもて治めたる世は、
往古
(
いにしへ
)
より久しきを見ず。人の守るべきは倹約なれども、
一五二
過ぐるものは
卑吝
(
ひりん
)
に
陥
(
お
)
つる。されば倹約と卑吝の
境
(
さかひ
)
よくわきまへて
務
(
つと
)
むべき物にこそ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
▼ もっと見る
頃
(
しばら
)
くして席は遊藝を競ふところとなり、ポツジヨは得意の
舟歌
(
ふなうた
)
(バルカルオラ)を歌へり。我は友の
笑
(
ゑみ
)
を帶びたる
容貌
(
おもざし
)
の
背後
(
うしろ
)
に、暗に富貴なる人々の
卑吝
(
ひりん
)
を
嘲
(
あざけ
)
る色を
藏
(
かく
)
したるかを疑ひぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
これは外面の差で性質上の差ではない。彼の表面倹約を装うてその実
卑吝
(
ひりん
)
貪欲
(
どんよく
)
の行為を成し、人の前では正直そうにして隠れた所で悪事を働くなどは、我輩も先生も断じて取らぬところの行動である。
福沢先生の処世主義と我輩の処世主義
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
又
一〇七
卑吝
(
ひりん
)
貪酷
(
どんこう
)
の人は、金銀を見ては父母のごとくしたしみ、
食
(
くら
)
ふべきをも
喫
(
くら
)
はず、
一〇八
穿
(
き
)
べきをも
着
(
き
)
ず、得がたきいのちさへ惜しとおもはで、起きておもひ臥してわすれねば
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
否、
彼
(
かれ
)
をして
卑吝
(
ひりん
)
に陥らしむる余地が丸でない程に、代助は三千代を愛した。けれども、彼は三千代から何の用かを聞かれた時に、すぐ己れを
傾
(
かたむ
)
ける事が出来なかつた。二度
聞
(
き
)
かれた時に猶蹰躇した。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
“卑吝”の意味
《名詞》
卑しいこと。けちなこと。
(出典:Wiktionary)
卑
常用漢字
中学
部首:⼗
9画
吝
漢検1級
部首:⼝
7画
“卑吝”で始まる語句
卑吝慳貪