半切はんぎり)” の例文
と、同時に光圀の体も、鬘桶かつらおけに乗せている半切はんぎりの裾をややひらいて、ずっと、紋太夫のほうへ向き直った。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その横の真黒くすすけた柱へ「掛売かけうり一切いっさい御断おことわり」と書いた半切はんぎりが貼って在るが、煤けていて眼に付かない。
骸骨の黒穂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その貝を捕る女は半切はんぎりを片手に引き寄せながら板子を滑らしては面白ろさうに走つてゆく。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
用水のそばに一軒涼しそうなやす茶屋ぢゃやがあった。にれの大きな木がまるでかぶさるように繁って、店には土地でできる甜瓜まくわが手桶の水の中につけられてある。平たい半切はんぎり心太ところてんも入れられてあった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
切能きりのうの出しものは「龍神りゅうじん」である。厚板あついた着附きつけに、赤地に銀の青海波模様せいがいはもようのある半切はんぎり穿かせ、なお上から紺地金襴こんじきんらん葵紋あおいもんの龍神まき——法被はっぴともいうものを着せかける。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
半切はんぎり鳴らそと櫂を取る。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
光圀は、鏡の前に立って、半切はんぎり龍神巻りゅうじんまきの袖をあらため
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)