勤番者きんばんもの)” の例文
「あたりまえさ。この暑さじゃあ、大抵の者はうだってしまわあね。どうでこんな時に口をあいて見ているのは、田舎者か、勤番者きんばんもの陸尺ろくしゃくぐらいの者さ」
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
旗本はおろか、勤番者きんばんものですら、吉原を知らない者はないし、湯女ゆなを相手に、江戸唄の一節ぐらいは弾く者が多い。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
深更しんこうよりものしずかで、いずれよからぬ場所へ通う勤番者きんばんもののやからであろう、酔った田舎いなか言葉が声高におもて通りを過ぎて行ったあとは、また寂然ひっそりとした夜気があたりを占めて
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
心不乱しんふらんこめいでいたおかみさんたちまでが、まえかけで、きながら、ぞろぞろつながっててくる有様ありさまは、流石さすが江戸えど物見高ものみだかいと、勤番者きんばんものたまをひっくりかえさずにはおかなかった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ひとを罵るのにもよく“浅黄裏あさぎうら”だの“勤番者きんばんもの”だのと云うくせがある。要するに、それは彼が、彼自身を洗練された都会人としている誇りからくるものだった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勤番者きんばんものだろう。お吉に思召おぼしめしでもあるんだろう」と、半七は笑った。
半七捕物帳:04 湯屋の二階 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)