劫火ごふくわ)” の例文
遠くの半鐘が鳴つて、近くの人達がつぶてのやうに飛んで來ました。が、火の廻りがそれよりも早く、火消人足が驅けつける前に、家も人も、一瞬にして、劫火ごふくわの餌食になることでせう。
れ真に神を見て信ずるものの信念は、宇宙の中心より挺出ていしゆつして三世十方をおほふ人生の大樹なる乎。生命いのちの枝葉永遠に繁り栄えて、劫火ごふくわも之れをく能はず、劫風も之れをたふす能はず。
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
いまかげにやゝうすれて、すごくもやさしい、あつて、うつくしい、薄桃色うすもゝいろると同時どうじに、中天ちうてんそびえた番町小學校ばんちやうせうがくかう鐵柱てつちうの、火柱ひばしらごとえたのさへ、ふとむらさきにかはつたので、すにみづのない劫火ごふくわ
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)