ゆめ)” の例文
こよひ五三不思議にもここに一夜をかりたてまつる事、五四一世ならぬ善縁ぜんえんなり。なんぢわかきとてゆめ信心しんじんおこたるべからずと、五五ささやかにかたるもみて心ぼそし。
われ女の手を取りて、ゆめ彼詞に耳傾けんとなし給ひそ、彼黄金の色に目を注がんとなし給ひそ、彼男は惡しき人なり、願はくは彼男にの面當つらあてに、われに接吻一つ許し給へといひぬ。
散りこすなゆめと言ひつゝ、幾許こゝだくるものを、うたてきやしこほとゝぎす、あかつき心悲うらかなしきに、追へど追へど尚ほし鳴きて、いたづらに地に散らせれば、すべをなみぢて手折たをりて、見ませ吾姉子あぎもこ
浮標 (新字旧仮名) / 三好十郎(著)
袂を分つはたゞ一瞬の苦艱なりと思ひしは迷なりけり。我身の常ならぬが漸くにしるくなれる、それさへあるに、縱令いかなることありとも、我をばゆめな棄て玉ひそ。母とはいたく爭ひぬ。
舞姫 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
御住居見おきて侍れば、又こそ詣でんといふを、真女子あながちにとどめて、七五まろや、七六ゆめ出し奉るなといへば、丫鬟立ちふたがりて、おほがさひて恵ませ給ふならずや。
たもとを分つはたゞ一瞬の苦艱くげんなりと思ひしは迷なりけり。我身の常ならぬが漸くにしるくなれる、それさへあるに、縦令よしやいかなることありとも、我をばゆめな棄て玉ひそ。母とはいたく争ひぬ。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
金忠夫婦、真女子がことわりの明らかなるに、此の二四一女しきふるまひを見て、ゆめ疑ふ心もなく、豊雄のもの語りにては、世に恐ろしき事よと思ひしに、二四二さるためしあるべき世にもあらずかし。