刀掛かたなかけ)” の例文
と立上ろうとして、よろける途端に刀掛かたなかけの刀に手がかゝると、切る気ではありませんが、無我夢中でスラリと引抜き
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
とかくして涙ながら三戸につきぬ。とこ刀掛かたなかけを置けるは何のためなるにや、家づくりいとふるびて興あり。この日はじめてさけを食うにその味美なり。
突貫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そうして平生いつものように私の頭を撫でようとなされずに、ドスンドスンと私の琴をまたぎ越して、お床の間に置いてある鹿の角の刀掛かたなかけの処にお出でになって
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
例えば室内に刀掛かたなかけがあり、寝床ベッドには日本流の木の枕があり、湯殿ゆどのにはぬかを入れた糟袋があり、食物もつとめて日本調理のふうにしてはし茶椀なども日本の物に似て居る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
この見事な刀掛かたなかけには、あふひ御紋散ごもんぢらしの大小でもうやうやしく掛けて置くがい。
動物園 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)