六韜りくとう)” の例文
十八の茶々の君のそうした佳麗かれいさが、秀吉の眼をひかないわけはない。この道にかけても、六韜りくとうの奥の手、三りゃくの妙に通じている主人である。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
塗り骨の扇で涼を入れ、じっと見ている見台の書は、六韜りくとうでもなければ三略でもなく、意外! スペイン語の兵書である。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
八陣の法そのほか、従来の孫呉や六韜りくとうにも著しい新味が顕わされ、それは後代の戦争様相にも劃期的な変革をもたらした。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
孫子呉子、六韜りくとう三略、などというからロクないくさは出来ない。すべて前人の作ったものは、認めないことにするがいい。認めるからこそ議論が起こる。議論というものは花が咲く。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かの有名な兵学者大江匡房おおえのまさふさは家の祖である。大江家伝襲でんしゅう六韜りくとう孫子そんしなどの兵書やら外来の蔵書が、彼の手に移っていたとしてもふしぎはない。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ですが、大江匡房おおえまさふさの家書家統をいで、六韜りくとう奥義おうぎきわめられたとか。ご高名は、この地方でも隠れはありません」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
書物の講義ばかりかじって、六韜りくとうがどうの孫子そんしが何といったのと、架空な修行しておる者とは、この腕が違う、胆が違う
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分の召し抱えている部下とはいえ、兵においては六韜りくとうの奥義から三略の要諦ようたいにいたるまで、ことごとくこれを半兵衛に就いて教えられたといってもよい。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「孔明先生には、よく六韜りくとうそらんじ、三略に通ずと、かねがね伺っていますが、日々、兵書をお読みですか」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこには、論語ろんご中庸ちゅうよう、史記、貞観政要じょうがんせいよう六韜りくとうなどの漢書やら、延喜式えんぎしき吾妻鏡あずまかがみなどの和書もあった。中でも、愛読の書は、論語と中庸の二書であり、和書では、吾妻鏡だった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あれは古くからある楠流くすのきりゅうや唐書の六韜りくとうを焼直して、でッち上げたいかがわしい兵学だとか、世間で悪声を放ったのが、門人の耳に伝わって、よけいに感情が悪化したせいもあるが
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
諸葛亮しょかつりょうあざな孔明こうめい、また道号を臥龍先生と称して、かみは天文に通じ、しもは地理民情をよくさとり、六韜りくとうをそらんじ、三略さんりゃくを胸にたたみ、神算鬼謀しんさんきぼう、実に、世のつねの学徒や兵家ではありません
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
六韜りくとうをそらんじ、よく経書を読んでいました」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)