全然まるつきり)” の例文
んでもまさか、村落むらだつて隨分ずいぶんかぶつたところんだから全然まるつきりなんともねえつちこともねえがねえ」みなみ女房にようばうこゑひくくしていつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
『君は何時も人の話を茶にする。』と忠志君はにがり切つた。『君は何時でも其調子だし、どうせ僕とは全然まるつきり性が合はないんだ。 ...
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
イヤ事實まつたくだよ。それも君、全然まるつきり彼女かれは平氣なんだから驚くぢやないか。幾ら士族の家だつたからつて、ああまで專制政治を振り𢌞されちや叶はん。
一家 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
「私には、さう云ふ事が出来ませんので、今までついにお客なんぞを取つた事は、全然まるつきり無いんで御座います」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
泥棒は多分、先刻の蛇の文身ほりものの男の騷ぎから、引續いて女の文身の騷ぎの間に仕事をしたのでせう、全然まるつきり裸にされたのが二十二三人、あとの七十何人も何かしら奪られない者はない有樣です。
芝居ぐらゐにはお出掛になつても可ささうなものだが、全然まるつきり影も形もお見せなさらん。なんぼお大事になさるつて、そんなに仕舞しまひ込んでお置きなさるものぢやございません。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
燐寸箱! 然だ、燐寸箱だよ、まつたく。狹くて、狹くて、全然まるつきり身動きがならん。のみだつて君、自由にねられやせんのだ。一寸何分とたけきまつた奴許りが、ギッシリとつめ込んである。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「いや、全然まるつきりだぜ。あんなに酷い嘲罵を浴びせられても、それは實にすましたもんだよ。出來ないものは幾ら何と言つても出來ないんだからつて具合でな。全くどうも洒々しあ/\たるもんだ。」
一家 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
自分じぶん餓鬼がきのことおめえ全然まるつきりどうなつてもかまあねえたあおもへねえよこんで
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
君は何時でも其調子だし、どうせ僕とは全然まるつきり性が合はないんだ。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「然し、細君はあれが全然まるつきり氣にならぬと見えるね。」
一家 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)