傀儡師かいらいし)” の例文
人間をあやつる傀儡師かいらいしはなんといういたずらをしようとするのか、この湯川氏が、働きものの二女を芸妓に売ろうと思ったり、また
旧聞日本橋:08 木魚の顔 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「倒幕の大事などが、長袖ちょうしゅうの神学者や、公卿くげばかりではかれるものではない。黒幕がある! 傀儡師かいらいしがある! たしかにある!」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
傀儡師かいらいし、素麺売などという連中に直衣を着せ、なんと形容のしようもない異様な行列をしたがえて入洛すると、馬を早乗りにして白川の邸へ馳せ戻った。
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
その時、形ばかりの枝折戸しおりどが、外から開いてその隙からスルリと庭先へはいって来たのは、昨日から影のようにお霜の家に付きまとっていた傀儡師かいらいし、体に隙のない男であった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
脚絆穿きゃはんばきで、むかし傀儡師かいらいしと云った、被蓋きせぶたの箱をくびに掛けて、胸へ着けた、扮装いでたち仔細しさいらしいが、山の手の台所でも、よく見掛ける、所化しょけか、勧行か、まやかしか、風体ふうてい怪しげなる鉢坊主。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あるとき傀儡師かいらいしが二箱に入れた木彫りの人形を質入れに来た。人形の高さは一尺あまりで、すこぶる精巧に作られていたが、期限を越えてもつぐなわず、とうとう質流れになってしまった。
人形まだ生きて動かず傀儡師かいらいし
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
京都の北朝ほくちょう偶像ぐうぞうである。傀儡師かいらいしの尊氏にはさしたる戦意もない。直義ただよしは一驕者きょうしゃにすぎず、次第に武家からも見離されよう。きざしはもうみえている。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「見られよ、向こうの林の中に、あるいは傀儡師かいらいし売茶郎ばいさろう、念仏僧などに身をやつして、十数人の人影が此方こなたを眺めておろうがの。あれこそすなわち山賊ども、拙者をねらう敵なのじゃ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
即ち名所の土の傀儡師かいらいしが、箱から気を咲かせた草の面影なのであつた。
玉川の草 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
垣の外から傀儡師かいらいし
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)