トップ
>
倏忽
>
しゅっこつ
ふりがな文庫
“
倏忽
(
しゅっこつ
)” の例文
たちまち降ってはたちまち晴れるというような
倏忽
(
しゅっこつ
)
の感じなどが、秋よりもむしろ冬のものとして格別の興味のあるところから
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
初めは
呻吟
(
しんぎん
)
、中頃は
叫喚
(
きょうかん
)
、終りは
吟声
(
ぎんせい
)
となり放歌となり
都々逸
(
どどいつ
)
端唄
(
はうた
)
謡曲
仮声
(
こわいろ
)
片々
(
へんぺん
)
寸々
(
すんずん
)
又継又続
倏忽
(
しゅっこつ
)
変化
自
(
みずか
)
ら測る能はず。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
焼酎で赤くなった顔に
倏忽
(
しゅっこつ
)
として満足げな微笑を浮かべ、彦太郎は、そうか、誰から聞いた、あんた、と
訊
(
たず
)
ねた。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
そうしてさらに六年の月日が、
倏忽
(
しゅっこつ
)
して過ぎ去った時、土屋庄三郎昌春が、この教団へ紛れ込んだのである。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
余はしゅっと云う音と共に、
倏忽
(
しゅっこつ
)
とわれを去る熱気が、静なる京の夜に震動を起しはせぬかと心配した。
京に着ける夕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
ほととぎすの
倏忽
(
しゅっこつ
)
な感じと、子供が駈けて来る動作との間に、自ら相通ずるものがあるのである。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
文人乎、非文人乎、英雄乎、俗人乎、二葉亭は終にその全人格を
他
(
ひと
)
にも自分にも明白に示さないで、あたかも彗星の如く不思議の
光芒
(
こうぼう
)
を残しつつ
倏忽
(
しゅっこつ
)
として去ってしまった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
白鞭を以て地を築いて
竅
(
あな
)
と成す、虫を中に置き、その上に
沃盥
(
よくかん
)
す、
少頃
(
しばし
)
虫
蠕々
(
ぜんぜん
)
長きがごとし、
竅中
(
きょうちゅう
)
泉湧き、
倏忽
(
しゅっこつ
)
自ずから
盤
(
わだかま
)
る、一席のごとく黒気あり香煙のごとし、ただちに
簷外
(
えんがい
)
に出で
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
パリス 青い入江を行き過ぐる
倏忽
(
しゅっこつ
)
の白帆のかげに美を覚り……。
チチアンの死
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
さて
倏忽
(
しゅっこつ
)
と月日が経ち、冬が信濃へ訪れてきた。雪に蔽われた富士見高原、寒々として真っ白だ。そこへ現われた二つの人影、虚無僧姿のイスラエルのお町、道中師風の早引の忠三。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
理窟をいえば稲妻と
行燈
(
あんどん
)
の灯が消えるのと、別に関係があるわけではない。ただ稲妻がぴかりとさす、行燈の灯がぱっと消える、という
倏忽
(
しゅっこつ
)
の感じを捉えたところに、この句の面白味があるのである。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
倏忽
(
しゅっこつ
)
に時は過ぎ行く秋の雨
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
声だけが突然土から生れ、
倏忽
(
しゅっこつ
)
と空へ消えたようであった。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
倏忽
(
しゅっこつ
)
の感じである。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
しかし火柱は
倏忽
(
しゅっこつ
)
と消えた。辻を東へ曲がったらしい。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
こうしてまたも五年の月日が
倏忽
(
しゅっこつ
)
として飛び去った。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
倏
漢検1級
部首:⼈
10画
忽
漢検準1級
部首:⼼
8画
“倏”で始まる語句
倏
倏急
倏然