何地いずち)” の例文
「松虫のつぼねと、鈴虫の局のお二人は、何地いずちへ落とした。それをいえ」安楽房が、それについては、一言も吐かないので、経雅つねまさ
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
当時の風習は世界一統のむつまじきことを心がけ、一方の潤沢を一方に移し、何地いずちも平均に相成り候よういたし候ことに御座候。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
何地いずちきけむ。久しくその名聞えざりしが、この一座に交りて、再び市人いちびとの眼に留りつ。かの時のおもかげは、露ばかりも残りおらで、色も蒼からず、天窓あたまげたり。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今更懐中の金子を道にて行き候とも、人殺の罪は免れぬ処と、夜中やちゅうまんじりとも致さず案じわずらひ候末、とにかく一先ひとまず何地いずちへなり姿を隠し、様子をうかがひ候上、覚悟相定め申べしと存じ
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
また、常胤殿が仰せには、安房、上総かずさ何地いずちにしても、佐殿すけどのがおらるるご宿所として要害とは申されぬ。すこしも早く、旗を
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
といいずてに何地いずちゆくらむ。別れはそれにも惜しかりしが、あと追うべき力もなくて見おくり果てつ。
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かばね何地いずちへ捨て候とも、名こそ惜しく候え。あわれ、口ほどに、よき死に方をしつると、必ず沙汰されてお見せ申さん」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
といひずてに何地いずちゆくらむ。別れはそれにもしかりしが、あと追ふべき力もなくて見おくり果てつ。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
諸国、何地いずちへ行っても、眼には見えぬが、幕府への不平は、いたる所のうずきと申してもまちがいはない。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なしたことかしれん。何地いずちにも宮方のうごめきが見られたぞ。島でも御油断は相なるまい
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「待てっ毒賊。帝を擁し、太后をとって、何地いずちへゆかんとするかっ」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「其方の先祖は、そも、何地いずちの如何なるものであるか」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「突然なことをうけたまわります……して何地いずちへ?」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)