体好ていよ)” の例文
新内がたりの〆蔵との馴れそめを打明け、あの人はお酒がよくないし、手慰てなぐさみもすきだし、万一の事でもあると困るから、体好ていよく切れたい。
あぢさゐ (新字新仮名) / 永井荷風(著)
罪人が解りたらばずほッと安心すべきところなるに目科はは無くて痛く失望の色を現わし体好ていよく紛らさんため例の嚊煙草の箱を
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
来るたびに何のかのと申しますのを、体好ていよことわるんで御座いますけれど、もううるさく来ちや、一頻ひとつきりなんぞは毎日揚詰あげづめに為れるんで、私はふつふつ不好いやなんで御座います。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「切り出す余地がなかったんだ。この会社は特別に忙しいとか、山へ行くと帰れないとか、取りつきにくいような話ばかりしている。して見ると、これは矢っ張り後から体好ていよく断られるのかな?」
秀才養子鑑 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
お代の事がイヤになった、東京にい嫁があるから来て見てくれろとは何の事だ。お負けに従兄弟同士の婚礼はどうのこうのと生意気な事を抜かしおって体好ていよくお代の事を断わろうとしている。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
若江という小姓もちいさい時分から奉公をしていた者で、先年体好ていよくお暇になったとの事、是も出入りは出来ようかと思う、所でお前たちにわしが問うがな、大殿様は今年はもう五十五にお成りなさる
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ということで体好ていよくお断りを食った。
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
とお父さんは体好ていよく降参した。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)