)” の例文
宿には私と、やまらしい夫婦づればかり、シムプロン・エキスプレッスの汽笛も、遠い国から響くようで心細い。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
わこ達のセレナーデが、夜っぴて米沢町の路地で競演する風景は、まことに哀れ深いものがあったでしょう。
空天井そらてんじょうで弁当を食べる働きのくせがいつまでもぬけきれず、腰が曲ってからでも畑のあぜに坐りこんで沖を眺めている方がお寺の畳の上より気楽なもののようであった。
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
森蔵人もりくらんど、千石の大寄合おおよりあいであるが蔵人がそのままくらに通ずるほどの酒豪だった。
日本婦道記:松の花 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
あづまが扇に染めし梅の歌それおもひでに春とこそ思へ
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
ぶるぶる胴振いが止まない、室に帰ると、やま達がしゃべってるしゃべってる、何しろ箆棒べらぼうな胴間声で、初めのうちはユンクフラウと喧嘩でもしているのかと思った、が
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
暫くすると、下から三人づれで登って来る連中がある、ガイドはシュトイリの弟で、兄哥あにきにまけないやま然とした男だった、これらは一番の電車でやって来たのだそうな。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)