五郎ごろう)” の例文
兼吉かねきち五郎ごろうは、かわりがわり技師と花前とのぶりをやって人を笑わせた。細君が花前を気味きみわるがるのも、まったくそのころからえた。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「——では、かみじょう五郎ごろうどのの手の者か。それとも、庄司予十郎しょうじよじゅうろうどのの手下か。飯村典膳いいむらてんぜんどのか、小森小十郎どのの手飼か」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一人は高秀庭こうしゅうてい、一人は丁禹良ていうりょうというのでしたが、そんなむずかしい名を一々呼ぶのは面倒なので、わたしの考案で一人を十郎じゅうろう、他を五郎ごろうという事にしました。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
見出しは「富田博士の無罪を証明す」というので、左右田五郎ごろうと署名してある。
一枚の切符 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
五郎ごろうさん、お電話です」
劇団「笑う妖魔」 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
兼吉けんきち五郎ごろうも主人に、おれがあやまるからといわれては口はあけない。酒代さかだいまいでかれらはむぞうさにきげんをなおした。水車の回転かいてんめずにすんだ。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
すると、そのとき近郷の稲井瀬いないせ五郎ごろう義弘よしひろという者が、手勢をひきいて門前へひしめいて来た。彼はこのへんでの鎌倉目付といわれている男なのだった。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
兼吉かねきち五郎ごろうあらいものをしている。花前はなまえれい毅然きぜんたる態度たいど技師ぎし先生のまえにでた。技師はむろん主人と見たので、いささかていねいに用むきをだんずる。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)