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云拔
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いひぬけ
云掛られ夫さへ心に
障らぬ樣
云拔て居しに今日
隅田川の
渡船にて誰かは知ず
行違ひに面を見合せしより
俄に吾助が顏色變り
狼狽たる
體を
ぞ
懸たりける因て久兵衞は
逃損じたりと思ひながらも
遁るゝだけは
云拔んと何卒
御免し下されよ私しは決して怪しき者に候はず
偏に
御勘辨を
増種々に手を
變云寄ゆゑ
夫喜八と申者
在中は御心に從ひては女の道
立申さずと一
寸遁れに
云拔けるを或時粂之進
茶を
汲せ
持來る其手を
捕らへ是程までに其方を