二処ふたところ)” の例文
旧字:二處
さしわたし三間ばかりにめぐらしたる高さ六七尺のまろき壇を雪にて作り、これに二処ふたところの上りだんを作る、これも雪にてする、里俗りぞくよんしろといふ。
とびらのそばの片すみには、何か特別の用に当てるためのものらしい品が二処ふたところに積んであって、一つは鉄の類らしく、一つはなわの類らしかった。
李張はふらふらとその丘の上にあがった。黄昏ゆうぐれの邸内には燭火ともしびの光が二処ふたところからちらちらとれていた。垣はすぐ一跨ひとまたぎのところにあった。彼はそこにたたずんでともしびの光を見ていた。
悪僧 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
陰惨な鼠色のくまを取った可恐おそろしい面のようで、家々の棟は、瓦のきばを噛み、歯を重ねた、その上に二処ふたところ三処みところ赤煉瓦あかれんがの軒と、亜鉛トタン屋根の引剥ひっぺがしが、高い空に、かっと赤い歯茎をいた
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さしわたし三間ばかりにめぐらしたる高さ六七尺のまろき壇を雪にて作り、これに二処ふたところの上りだんを作る、これも雪にてする、里俗りぞくよんしろといふ。
と云って、目隠めかくしの上を二処ふたところ吸って吸いました。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)