不確ふたし)” の例文
いわば出発点とも中心点とも解すべきものであって、次第にそのりかが不確ふたしかになったとは言え、是が本来は統一の力でもあったのである。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
手近てぢか即興詩人そくきようしじんには、あきらかにヱズヰオとるが、これをそのまゝにはもちゐられぬ。いさゝか不確ふたしかなところを、丁度ちやうどい。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いえ、そのような不確ふたしかなものは、戦略の上にたのんでもいられませぬ。——むしろ、ここは御聖断が第一です。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところが夢の方は、みな不確ふたしかな嘘ばかりで、眼がさめると消えてなくなるではないか
夢の卵 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
かしらかたむけて、った、そのころのことをおもそうとしましたが、うすあおきりなかに、世界せかいつつまれているようで、そんなようなねえさんがあったような、また、なかったような、不確ふたしかさで
青い花の香り (新字新仮名) / 小川未明(著)