下廻したまわり)” の例文
下廻したまわり田舎いなかを歩いていた時、某町あるまちで楽屋遊びに来る十七八のきれいな女を見つけた。それは髪結かみゆいをしている唖女であった。
唖娘 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
あちこちと往来ゆききする下廻したまわりらしい役者の中にはまだ新しい御触おふれが出てからもない事とて、市中と芝居町との区別を忘れて、後生大事にかむったままの編笠あみがさを取らずに歩いているものもあった。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
このまた万金丹まんきんたん下廻したまわりと来た日には、ご存じの通り、千筋せんすじ単衣ひとえ小倉こくらの帯、当節は時計をはさんでいます、脚絆きゃはん股引ももひき、これはもちろん、草鞋わらじがけ、千草木綿ちぐさもめん風呂敷包ふろしきづつみかどばったのを首にゆわえて
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)