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一物
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いちぶつ
ふりがな文庫
“
一物
(
いちぶつ
)” の例文
おおむね、勝てば勝ったところに敵産があり、かならず腹ぐらいは満たされたものだが、いまどきは、どこへ行っても
一物
(
いちぶつ
)
すらない。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
漢代
(
かんだい
)
の
五物
(
ごぶつ
)
を蔵して
六漢道人
(
ろっかんどうじん
)
と号したので、人が
一物
(
いちぶつ
)
足らぬではないかと
詰
(
なじ
)
った時、今一つは漢学だと答えたという話がある。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
されば早や夜ならむ、
居
(
お
)
る処は、天か、地か、はたまた土蔵か、穴蔵か、眼は開きたれども
一物
(
いちぶつ
)
を弁ぜず、
闇
(
くら
)
きことあたかも盲せるごとくなるに、老婦人はただ自失せり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
省作はわれ自らもまた自然中の
一物
(
いちぶつ
)
に加わり、その大いなる力に同化せられ、その力の一端がわが肉体にもわが精神にも通いきて、新たなる生命にいきかえったような思いである。
隣の嫁
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
それは
勿論
(
もちろん
)
借りた後といへども良心を持たなければならんけれど、借りざる先の良心と、借りたる後の良心とは、
一物
(
いちぶつ
)
にして一物ならずだよ。武士の
魂
(
たましひ
)
と
商人
(
あきんど
)
根性とは元
是
(
これ
)
一物なのだ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
かつそれ
烟管
(
キセル
)
・喜世留、
硝子
(
ガラス
)
・玻璃、
莫大小
(
メリヤス
)
・目利安、
不二山
(
ふじさん
)
・冨士山の
類
(
たぐい
)
、
一物
(
いちぶつ
)
字を
異
(
こと
)
にし、
長谷
(
はせ
)
、
愛宕
(
あたご
)
、
飛鳥
(
あすか
)
、
日下
(
くさか
)
、
不入斗
(
いりおまず
)
、
九十九
(
つくも
)
のごとく、別に字書を作るにあらざれば知るべからず。
平仮名の説
(新字新仮名)
/
清水卯三郎
(著)
されど
一事
(
いちじ
)
に
即
(
そく
)
し、
一物
(
いちぶつ
)
に
化
(
か
)
するのみが詩人の感興とは云わぬ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“一物”で始まる語句
一物不将来
一物不生地