一樽ひとたる)” の例文
一枚戸を開きたる土間に、卓子テエブル椅子いすを置く。ビール、サイダアのびんを並べ、こもかぶり一樽ひとたる焼酎しょうちゅうかめ見ゆ。この店のわきすぐに田圃たんぼ
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこで酒はすりが人の金を取ってたくさん持っているだろうから、誰が見付けたに関らず、七三郎、貴様一樽ひとたる買えっ。
怪異暗闇祭 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
翌朝あくるあさ起きるなりそれまで貯えてあったわずかかな銭を持って、市場に往き、鶏の肉やがちょうの肉、魚、菓実かじつ一樽ひとたるい酒まで買って来て、それをじぶんへやへならべて、李幕事夫婦を呼びに往った。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
一樽ひとたるの美酒と、幾重ねの佳肴かこうなどが、舟から舟へ手渡された。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
敵の秀吉から贈られた一樽ひとたるの酒を酌んで
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)